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吉岡徳仁 クリスタライズ展~東京都現代美術館

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写真は東京都現代美術館HPより

吉岡徳仁さんの作品は静かなのにダイナミック、大胆なのに繊細。そして自然に逆らわず美しい。
今回の東京都現代美術館の展示は、夥しい量のストローで表現されたストームの中を巡るようにつくられていて、非常に近くで作品を見、感じることができ、いつもの“触れたい欲求”をかなり満たしてくれた。
実際にあのクリスタルのベンチに座って、光のプリズムの中に身を置くこともできたのだから。。。かなり満足度の高いインスタレーションだった。

救い難い安倍政権の、秘密保護法や消費税アップや憲法改悪による戦争への懸念やTPPによるGM食品の脅威、なにより悲惨なフクシマの現状…。 美術館がほんとうの現実逃避の場所になってしまうのは悲しい。

吉岡徳仁「クリスタライズ展」東京都現代美術館 1月19日まで
http://www.mot-art-museum.jp/exhibition/147/

《おまけ》
クリスチャン・ボヌフォワ展 銀座メゾンドエルメス
http://www.maisonhermes.jp/user/le_forum/forum_current_article.php?a=235



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植田正治のつくりかた~東京ステーションギャラリー

写真家 植田正治(うえだしょうじ 1913~2000)の生誕100年を記念する写真展。

ちょうど20年前の1993年に旧東京ステーションギャラリーで開催された植田正治写真展の、砂丘を背景として人物を配置した、モノクローム写真が感動的で深く印象に残っている。

植田正治は鳥取砂丘の近くに生まれ、子供の頃から写真を愛し、
生涯山陰から離れず写真を撮り続けた。
植田正治のモノクローム写真にとっては山陰地方の光(明るい光ではいけないようだ)が重要であったようです。
事実その陰翳は輪郭が柔く、どこか違う次元と通じているような不思議な感覚を覚えます。
さらに砂丘というステージが植田正治独自の発想~人物やモノを演出して配置する~を育んだようにおもいます。

20年前の写真展では紹介されなかった他のシリーズや最晩年の作品も紹介されています。

東京ステーションギャラリー「植田正治のつくりかた」
http://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/now.html


貴婦人と一角獣展 国立新美術館

フランス国立クリュニー中世美術館所蔵
貴婦人と一角獣展

http://www.lady-unicorn.jp/

パリの中世美術館のそばの公園のベンチで長々と日なたぼっこしていたのに、中に入らなかったことを後悔していた。
織物とは文明であり文化であり芸術であるということを目の当たりにしたおもい。

タペストリーは縦糸が隠れるように横糸で自在に絵を描いた、日本では綴れ織りといわれるものだけど、貴婦人の衣装やクロス類のダマスク織りをも表現しているのが面白い。

ダマスク織りはアラベスク文様のようにパターンを繰り返すのが特徴で、イスラムからヨーロッパに伝わり主にイタリアで生産され中世貴族の衣服や調度を飾った。

タペストリーの綴れ織りで、全く異なる技法と歴史(すなわち文明)を持つダマスク織りが描かれていることにちょっと興奮した。

そういえば、日本にも立派な綴れ織りのタペストリーがありますね。
まだ見る機会がないけれど、新しい歌舞伎座の緞帳。たのしみ…




ミリキタニの猫 再び

mirikitani

地元の歴史資料館に貼ってあったポスターで知った、
ジミー・ツトム・ミリキタニ回顧展
http://www.ritsumei.ac.jp/mng/er/wp-museum/event/special/2013/exhibition2013_1.html

2012年の10月にNYで92歳で亡くなられていたんですね。。。
遠くてゆけないけど、近くの人は是非見てほしい。ずっと平和を訴えていたミリキタニ(三力谷)さんの猫。

戦争に向けて憲法を変え、監視のためにマイナンバー制度を導入しようとする日本を、どうおもっていただろう。

映画の上映もあるそうです。
http://spogaku.pref.kyoto.lg.jp/event/3701.html



ミリキタニの猫-あれから10年(2011.9.12)



パナソニック汐留ミュージアム と 東京オペラシティアートギャラリー

いずれも今日で終わってしまったけど。。。

二川幸夫・建築写真の原点 日本の民家一九五五年
http://panasonic.co.jp/es/museum/exhibition/13/130112/

そのモノトーンの写真に写る民家の存在感に圧倒される。

平野の集落、街道の集落、雪国の集落、海辺の集落・・・
山麓の農家、石垣に守られる漁師の家、蚕を育てる民家、馬と暮らす民家・・・
連なる甍、天井の梁、漆喰の壁、土間の三和土、茅葺きの屋根・・・

生活と風土が生んだ造詣の美しいこと!
だけどニ川幸夫氏が写真を撮り始めた1950年代、日常を暮らす家が美しいとは、そこに住む人は誰もおもっていなかった。
だから高度成長期時代に日本の家は陳腐なものになってしまったのかもしれない。
失ってしまった日本の情景のなんて美しかったこと。

※ すばらしい記録を残してくれた二川幸夫氏は会期中に亡くなられた(80歳) 合掌。


新井淳一の布 伝統と創生
http://www.operacity.jp/ag/exh148/

ハタ織りは文明の始まりではないか、と常々おもっている。

布を織るハタには原始からの智恵が集積していて(それは布が身体を守るものであったからだ)、その智恵が様々な道具へ、産業へと発達したと想像している。
(現に自動車メーカーのいくつかは始めは織機をつくっていた)

新井淳一さんの布は、文化であるといえる。

素材もスケールも、想像する布の範疇を越えている。
しかしそこには桐生の機織りを生業とする家に生れ、伝統を学び尊重する姿勢がありました。

布には表現の限界がないのですね。




村越襄 祈りのデザイン:蓮華幻相

村越 襄(むらこし じょう 1925-1996) は戦後日本のグラフィックデザイン界の第一線で活躍したアートディレクター。
その名前は知らなくとも作品を見れば多くの人が頷くでしょう。

ジョットやフラ・アンジェリコの宗教画を愛しながら、晩年の5年間に制作したのは仏教に帰依したかのような美しい作品だった。

蓮の花のさまざまな姿を写した写真に「般若心経」をコラ-ジュし、さらに金箔や銀泥を手作業で施したシリーズ。
デザイン性の高い、しかしグラフィックの量産とは対極の、一点一点に祈りを込めたような幻想的な作品。

村越襄 祈りのデザイン:蓮華幻相 茅ヶ崎市美術館
http://www.chigasaki-arts.jp/museum/fl_exhi.html

制作過程の指示を付けた原稿も展示されていて、なつかしかった。
かつては文字の書体、ポイント、色見本などの指示をつけて校正刷りに出していた。今はなんでもPCで作ってしまうけど・・・



須田悦弘展と杉本博司展

12月16日に会期は終了しましたが、千葉市美術館の須田悦弘展にゆきました。

とうに精緻は極めて、精神性の域にある須田悦弘さんの作品。

最初の展示スペースでは作品と対峙させることを意図しているのでしょう、鑑賞者は一人ずつ狭い通路を通ってその奥にある作品と向かい合う仕掛けだった。
そこで作品は、茶席の床に活けられた花のように、絶対的な存在として空間を支配している。

江戸時代の屏風の絵からこぼれ落ちたかのような藤や椿の花(の作品)。雀の絵には米粒(の作品)。。。

名も知れぬ「雑草」から新作の真紅の「薔薇」まで、これほど一度にたくさんの須田さんの作品を見ることはなかなか無いことでしょう。

いつものように作品を探す愉しみもありました。
DSCN5860.jpg

今回一部を除き作品の写真撮影が許されていた。
原美術館のジャン・ミッシェル オトニエル展もそうだったけど、日本の美術館でも最近は、撮影が許可される傾向にあるようだ。
(それが良いと言うわけではないけど)


銀座メゾンエルメス 杉本博司展「影の色」 12月31日まで

カゲのイロ・・・?

太陽を連想される真紅、宇宙のような深いブルー、萌えるようなグリーン。。。巨大なプリズムを通した日光をポラロイドカメラで撮影した、実は光の色。

あらゆる光の色がエルメスの絹のスカーフにプリントされて、展示されている。

その光を写したポラロイド写真を四角い光学ガラスに閉じ込めた作品もあって、正面からはポラロイド写真が見えるのに、サイドや真上からはなにも見えない。
だけど四角い影が投影される不思議。。。

この光学ガラスのアイデアが、デュシャンの「大ガラス」から派生したことの経緯が、2005年に出版された杉本さんの著書に書いてあった。
この作品を見たあとで、偶然そのページを開いた不思議。。。

杉本氏は写真家で現代美術家。骨董、建築、古今東西の歴史・文学・美術に造詣があって、昨年は文楽の演出までしている。
このマルチな才能は、ものの本質(美)を見極めることができるからなのだろう、とおもう。

「苔のむすまで」 杉本博司著
http://ec2.images-amazon.com/images/I/414QCGXQ9ML._SL500_AA300_.jpg


東京ステーションギャラリー

始発電車を待ちながら 
東京駅と鉄道をめぐる現代アート 9つの物語

http://www.ejrcf.or.jp/gallery/

10月1日のオープン以来何度も東京駅は利用していたのに、体力と気持ちの余裕がなくてまだ訪れていなかった東京ステーションギャラリー。

北口コンコースの形を活かしたスペースは、以前よりずっと広くなって、近代的なシンプルな空間と漆喰の下から出てきたという100年前のレンガの壁面は違和感も無い。

若い現代美術作家たちによる「東京駅」あるいは「鉄道」というテーマの作品は、動きと流れ、景色と時のうつろい、場所の記憶などを表現して、ちょっとした旅行気分を味わえる。
100年前のレンガの壁の窓から、現代の丸の内のビル郡を見せるのも、時間旅行のようだ。

けれど日本中のレールがつながる東京駅であればそこに、東北(未だ復興ならない)への視点も欲しかったとおもう。

JRのBOとおぼしき案内係りのおじさんたちも親切で、親近感がありました。きっと長い年月を鉄道で旅をする乗客と接していたからでしょう。


【おまけ】
今回いちばん印象的だったクワクボリョウタさんの2010年の作品






アフリカのビーズ

ビーズインアフリカ 神奈川県立近代美術館 葉山
http://www.moma.pref.kanagawa.jp/museum/exhibitions/2012/beads/index.html
アフリカでは紀元前1万年以上前に、ダチョウの卵の殻で作った世界最古といわれるビーズが誕生しました。以来、ヨーロッパやアジアなど世界各地との交易を通じてガラスや金属など多種多様な素材を取り入れて、今なお新たな装飾を生み出しています。
独自の発展を遂げたアフリカのビーズは、地域によって形や素材、細工の方法が異なります。装飾品としてだけではなく呪術や儀式に使われ、富や社会的地位の象徴、年齢や出身民族の証しとなるなど、その役割は実にさまざまです。
 王族の冠や娘たちの首飾りとして人々の生活を彩ってきたビーズの伝統は、様々な作り手たちの手仕事によって受け継がれてきました。世界に類を見ないユニークな芸術品であり、一粒一粒のビーズ玉の細工に込められた技巧と創意工夫の数々に、アフリカの生命の息吹を感じていただければ幸いです。

<プレスリリースより>

王様が足をのせるための台や椅子、儀式のときの仮面(立体的な動物などのオブジェが付いている)など、そのユニークな造形もさることながら、全体に一分の空きもなくほどこされたビーズに驚く。
ビーズが権力と冨とあこがれの象徴であったことがよくわかる。

帽子、婚礼衣装、首飾りや腕輪、ベルトなど・・・ビーズは非常に細かいものからトンボ玉のような大きいものまで、色彩や形もさまざまであるがそのデザインと装飾性が素晴らしい。
服飾文化を持たなかったアフリカの人たちは、衣服の代わりに自らの身体を直接飾るアクセサリーに執着したようだ。

この色彩豊かなビーズは、交易によりヨーロッパからもたらされたものという。

想像するに、15~16世紀にヨーロッパ人が色美しいガラス玉を持ってアフリカの地にやってきた。たぶんそれまでは貝殻や卵殻、骨や鉱物などの自然のもので身体を飾っていたであろうアフリカの人々は、鮮やかなガラスの輝きにすっかり魅了されたにちがいない。

そのガラスのビーズで身体を飾りたくなったアフリカの人々はヨーロッパ人が望むものと喜んで交換しただろう。
すなわち、金や鉱物、象牙、それから奴隷。。。

アフリカ史によればヨーロッパとの交易の初期は友好的であり、奴隷は犯罪者などが売られたという。しかしそれは短い時間だった。
やがてアフリカは、ヨーロッパ各国に一方的に搾取され奴隷貿易が始まり植民地化されていったのだから。

この企画展ではそこまでは触れていない。だけどすこし悲しくなったアフリカのビーズ展。


museam as it is

人里離れた深い緑のなかにひっそりとある小さな美術館。
静謐で、夏の終わりになるとゆきたくなる。

遠い記憶を標本にしたような展示だった。
http://asitis.sakatakazumi.com/120427/index.html
museam as it is
http://asitis.sakatakazumi.com/#about

《予告》
松涛美術館 古道具その行き先 ―坂田和實の40年―
2012年10月3日(水)-11月25日(日)
http://www.shoto-museum.jp/05_exhibition/index.html#A001
松涛美術館は小さいながら独自のテーマで良い企画が多い。
現在開催している「藤田嗣治と愛書都市パリ」ではあまり知られていなかったエポックメイキング時代のパリでの挿絵の仕事を紹介していて、初めて見るものが多かった。
坂田和實氏は as it is のオーナーで古道具に愛着と美学をもっている人。



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こばんとたわし

Author:こばんとたわし
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